福祉施設で利用者がスマートフォンを使うために必要なことは?

福祉施設で利用者がスマートフォンを使うために必要なことは?

先日、ご利用者からスマートフォンを買ってもらうことになったと話がありました。
どうやら後見人の方にお願いしてみたら契約してもらうことになったんだとか。
使う場合は居室のみで、部屋の外に持ち出しは禁止とするらしいと話だけ伺いました。

私の務めている職場は特別養護老人ホーム(以下、特養)です。
今までスマートフォン(以下、スマホ)をご利用者が持つことはショートステイ利用者(以下、ショート利用者)以外はありませんでした。(私の知る限り)

今回、実際に契約され使い始めているので
どうやってご利用者が安全で安心した使い方ができるか?
を考えて見たいと思います。

しっかりしている利用者とは誰か?

ここで言う”しっかりしている利用者”とは

  • 物忘れがほとんどない
  • 職員のことを理解している(行動や言動など)
  • 問題行動(もの取られ妄想、被害妄想、帰宅願望、うつ病、自傷行為、離設行為)がない

上記を満たしている利用者のこと。(※筆者独自の判断)

認知症とは脳に障害を負ったり、萎縮したりして起きる症状の病気なのはご存知の通りです。

年相応の物忘れとは違い、重度になってくると食べることや立つこと、しゃべることも忘れてしまうものなので
予防や進行を遅らせる必要がある病気です。

年相応の物忘れとは、

  • 話した内容を忘れるが、ふとしたきっかけで思い出す。
  • 食べたものを忘れる事はあっても、食べたことを忘れない
  • 体験経験したことは一部抜ける事はあっても忘れない
  • ヒントがあれば思い出す

認知症の物忘れは

  • 話した内容や話した事実を忘れる
  • 食べた事実を忘れる
  • 体験経験したことを忘れる
  • ヒントがあっても思い出せない
  • 同じことを繰り返し聞いてくる話す

など、上げればきりがありません。

また、しっかりした利用者は、介護度で1~5で判断はできません。
認知症の有無が大きな壁だと思っています。

軽度の認知症で介護度1の方もいらっしゃるため、数字の判断は危険です。

実際に目の動きだけでパソコンの操作を行う技術も発達しているので、
認知症以外の方がそういったツールは使いこなす事も可能です。

認知症の方は、そもそも操作方法を覚えられない。
新しいものを取り入れることが困難などの理由があるため。

認知症の方がスマホを使うためには

では、実際にスマホを認知症の方が使うとどうなるのか?考えてみましょう。

今回のケースは、施設に入る前までスマホを使っていて、施設内で使いたいと希望があり
使い始めたがその後、認知症が発症または進行してしまった場合について、
下記の状況がスマホを使うにあたってのリスクと問題点です。
参考にしてみてください。

スマホを使うにあたってのリスクと問題点

紛失

まず一番の問題となるのは紛失です。
いくら居室内で使うと決めても、ポケットや車椅子の隙間などに挟まったりして、居室以外に持ち出してしまう可能性は否定できません。
無くしたり、利用者に盗られることも想定しなくてはなりません。

破損、故障

落として破損、故障、トイレに落ちて水没、服に紛れて洗濯・乾燥、意図しない操作でご動作、及び修復不可能な状態になる。
などが想定されます。

誤送信、個人情報漏洩

誰か知らない人にメール、メッセージを送ってしまう。
SNSに登録、施設内の情報の拡散、送信。

カメラ付きスマホが一般的なため、施設内で知り得た情報を外に発信する可能性も否定できません。
他利用者の写真も盗られ送信される危険性もあります。

長電話、スマホ依存症

長時間スマホを使い続けて施設生活に支障をきたすこと。
食事の時間は施設によって決まった時間で出される事が多く、依存してしまうと時間管理ができなくなる可能性があります。

安心・安全に利用者がスマホを使うためには

上記の通りリスクは避けられません。

最初に書いた”しっかりした利用者”は、最近ではなかなか見られる事が少なくなりました。
これから団塊世代の方が特養や老人保健施設(以下、老健)に多く流入してきます。

これに伴い、スマホ利用者の多くがこういった施設に入る事が想定されます。
(実際に増えていると思いますが)

施設によって対応は様々だと思いますが、施設の取り決めとして決めてしまう事が一番手っ取り早く入所時に説明もできて安心だと私は思います。

突然スマホを使いたいという利用者が出てくる可能性もあります。
最初からスマホの取り決めを決め、利用者ごとに施設の方針と照らし合わせ、使い方を決めること。
これを現場で環境整備を行い利用者に慣れてもらう。認知症の方でも職員と施設とで使い方が定まっていると注意もしやすく説明もしやすくなります。

今回、私の働いている施設で使い始めた方がいらっしゃることは最初の述べた通りです。

言うことも理解して頂ける。
理解も早い。
物忘れは若干あるが支障がある程ではない。
納得できないことも渋々承諾できる心の余裕がある。

また、認知症も無い事も挙げられ、使うことが許可された経緯があります。

使い方や設定などは利用者一人で行うのは若干危険も伴うため、利用者との信頼関係を構築しある程度の設定は行う必要があると判断しています。

なにかあればこちらで追記して行きたいと思っています。

気になることや聞きたいことがあればコメントして頂ければ幸いです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

追記2021.5.6

先日、スマホ代が結構上がってしまっていたようで、契約変更などしていました。
通信でそんなに増えてしまうものなんでしょうか。
やっていることは、多分ニュースを見ることと、スマホのゲームぐらいだそうです。

いつか、ネットを会社のWi-Fiで利用者が使える日がくるのでしょうか?
その時、自分が特養などに入所しているとしたら、パソコン引きこもりしていそうな気がします(笑)

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