介護の仕事と家族との信頼関係
介護の仕事をしていると、家族と話をする機会も少なからずあると思います。
特にディサービス(通所)や訪問介護(リハビリや看護)など、特に初回訪問からサービス終了するまでの間、関係は続いて行きます。
私はディサービスと長期入所施設サービスの2つを経験して現在に至りますが、ここでは長期入所施設サービスでの実体験を交えて書いていきます。
101歳で亡くなったTさんの事例
「○○さんがいるなら安心できるね。」
そんな話を長期入所されたTさんの家族と数年ぶりにお会いした時に話してくださったのをよく覚えています。
最期は看取れませんでしたが、2つの施設をまたいで3年と2年の短い間でお世話になった家族(夫婦)との関係はとても良く、
会うたびに笑顔も見せて下さっていました。(最後にひとこと話せたら良かったのですが)
老健を退職後、2年間ユニット型の特養に努め、再び転職し旧来型の特養に4年目に差し掛かる頃にTさんが入所されました。
初めて会ったのはかれこれ8年前、そして4年ぶりの再会です。
うつ病と心不全で常に下を向いて口数も少ない方だったのを覚えています。
半年も経たないうちに明るくなり会話も増え、関係性も良くなっていきました。
最後に元気に話せた時の別れ際には、「東京オリンピックまでは生きてないとね(笑)」
と笑顔で話をされていました。
担当の顔が見えると信頼関係が生まれるのか?
介護老人福祉施設(以下、老健)でパートから正社員になり、初めて担当がついたのがTさんでした。
最初に勤めていた老健では、担当者会議にも介護職員が参加し、
施設ケアマネ、看護師、リハビリ、栄養士、利用者家族が集まり話し合いを行っていました。
担当者会議後は、利用者家族と利用者とで話をしたりして、その時間を楽しまれることが多く見られました。
もちろん、担当職員となれば担当利用者の家族とも話が自然と増えます。
実際に家族との会話の中で、最初に書いた通り「○○さんがいるなら安心できるね。」というお言葉が自然と出て来るっていうのは、家族との会話がしっかりできている証拠なのかな、なんて思いました。
家族の立場からすれば、
- 誰が介護しているのか?
- どんな環境で介護しているのか?
- 安心して預けられるか?
など、不安要素も多くあると思います。
実際、私も祖父祖母を施設で預けていた経験もあり、その気持も今ならよくわかります。
安心して預けてられる施設っていうのは、まずはどんな施設なのか?ってところと、
誰が介護しているか?って言うのが基本なのかなと思いました。
実際に色々と利用者さんの話をして、情報共有を図ったり、ケアの方向性を一緒に話合うこともあり
信頼関係は、会話から始まり、進む方向の共有が大事という事例を学ぶいい機会でした。
担当の顔が見えない施設は信頼関係は生まれるのか?
誰が担当で、どんな人が介護をしているのか?
顔がわかれば人は安心すると少し書いてみました。
顔もわからない、誰かに介護されているかわからないと思うと不安でしかない。
とにかく預けられればそれで良い的な感じになっていないか?
それで良いのだろうか?
老健から離れ、ユニット型特養に転職した時、担当利用者は配置されました。
が、2年間働き、1年のみですがユニット型特養で働きました。
そのなかで、担当の利用者家族に会ったことが無い事案発生。
この施設では、基本家族と顔を合わせるのは相談員。
苦情受付から事故報告の連絡も相談員。
おまけに担当者会議は利用者家族と対面でプランの説明のみ。
「特養って、こういうところ???」
という感想しか浮かびませんでした。
誰もが最初に働いたところが基準になると思います。
今いるところも閉鎖的ですが、プランの説明と印鑑をもらうだけの作業になっている気がします。
個人的な意見になりますが、特養はやや閉鎖的な空間になりがち。
そんな気がします。
その日が安全に過ぎれば良い感じがあるかなと。
ユニット型の特養では、最後まで正直家族の気持ちはわかりませんでしたが、
事務所サイドでの積極的な関与、話し合いができれば信頼関係は生まれるのではないでしょうか。
担当の顔が見えなくても
今働いている従来型の特養では、
- 花見会・納涼祭・敬老会の3つを家族ぐるみで大規模にやること(準備も大変ですが)。
- 何かあればすぐ連絡できる体制づくり。
- 全体をまとめるための方向性が職員全員と共有できている。
- 事務所サイドでもイベント時には最大限の協力を得られる。
色々と思うことも多く辞めてしまう職員もいまだに多くいますが
上記のことが利用者家族に対して信頼関係が築けているんじゃないかなと思います。
実際に入所時にはトラブルも多くあり苦情も多くあった利用者家族からも、
亡くなる時には涙ながら「 ありがとうございました」というお言葉を頂くことも多い印象です。
家族を巻き込み介護の積極的に関わる環境づくりも信頼関係構築には必要なことなのではないでしょうか。
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