思いやることについて考える。嘘は善か悪か?

思いやることについて考える。嘘は善か悪か?

「思いやる」を少し考えてみましょう。

例えば自分を基準に置く場合は以下のようになると思います。

自分を良くみせたい
自分は傷つきたくない
自分が優位に立つために

と、言葉巧みに誘導するでしょう。

逆に相手を基準に置く場合は以下のようになると思います。

相手が傷つかないように
相手の気持ちに沿うように
相手も楽しんでもらうために

と、言葉を選び声掛けをするでしょう。

福祉の仕事をしていると自然と前者の
「言葉巧みに誘導」し、「丸め込ませる方法」をとりがちだと感じます。

現場ではそれは特に顕著に出てきます。
私はいつも罪悪感との葛藤の日々を過ごしています。

これを読んでいるあなたは、
日々どちらの思考が働いているでしょうか?

少し例え話を交えて考えてみたいと思います。
利用者さんとの葛藤、嘘から出たまこととは?

言葉巧みな誘導は善か悪か

例えば、入所施設の現場では以下のような話がよく出ます。

利用者A「嫁が呼んでるから今から帰らなきゃ!(せかせかしてる)」
介護者B「今日は雨なのでバスは出ませんよ。」
利用者A「そんなの知らないよ。歩いて帰るから。出口はどっち??(歩けないのに立とうとする)」
介護者B「立つと危ないですよ!明日バスが出ますので、それに乗って帰りましょ?」
利用者A「そんなの知らないよ。私は今帰りたいの!」
介護者B「もう外は暗いので明日にしましょ?」
利用者A「もうそんな時間?泊まるところはあるのけ?」
介護者B「お部屋は用意しています。ご案内しましょうか?」

このような会話は日常茶飯事。
上記の会話は当事者からするとスムーズ過ぎて違和感があると思いますが例えですのでご了承ください。

ここで介護者Bさんの発言で
「明日バスが出るので」
という言葉は嘘です。

それでも言った事に意味はあるのでしょうか?正しいのでしょうか?

答えは正直ありません。

しかし、利用者さんは今すぐ帰りたくて焦っています。
そこでとっさに介護者Bさんは嘘を言います。

その嘘は、
安全のため
安心してもらうため

こちらが焦ってしまうとそれも伝わって逆効果です。
態度や感情は自然と伝搬するものです。
さも当然のように、それが決まっているかのように相手に伝えることがとても重要。

時には利用者さんから出た言葉を使い理解と共感を狙いながら嘘をつく。

ここまですると介護者はまさに悪者です。悪役です。

でも!上でも書きました。

嘘は、
安全のため
安心してもらうため

利用者さんの家族は今その施設にいて欲しくて施設に預けてくださっているのです。
もしくは家も家族も無いのに言う方もいます。

帰りたくて帰りたくて仕方のない利用者さんを嘘をついてまで安心してもらう事。

これがとても重要。
ほんと、罪悪感が半端ないです。

嘘から出たまこと
まさにその通りで、利用者さんにとって嘘は真実に変わってくるのです。

「明日帰るからまた明日ね。おやすみなさい。」

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